浅倉卓司のログ

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zoom RSS 弾さんの難癖にいちおうフォローいれておく。読む人少ないだろうけど。

<<   作成日時 : 2006/12/23 01:20   >>

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 弾さんのひどい難癖に対するフォローを簡単に。

 まずは一番ひどいところから。
少し考えてみればわかる。Amazonでは最高6%(といって、そこまで行くアフィリエイトはかなり稀だとも思うが)を還元して、しかもコストが安いとは言えない個別宅配をしても利益を出している。裏を返せば流通マージンがいかに高いかということだろう。技術革新で出版コストも流通コストも下がっているはずのに、著作権者にはその利益がほとんど還元されていないのが現状なのだ。

 ここで述べるべきは「Amazonのアフィリエイトで提示している割合」ではなくて、「Amazon全体の売上に対するアフィリエイト全体の割合」でしょう。この取り上げかたは詐欺的じゃないでしょうか。
 それに、Amazonが全ての書店の代表ではないのです。Amazonは店舗を構えないことでコストを下げて、その分を配送料やアフィリエイトにあてているだけです。
(アフィリエイトは販売員の代わりだったり広告費の代わりだったりもするけど)
 一般的な書店の利益率は3%に満たないと記憶しています。ちょっと調べてみたら2006年の書店の経常利益率ランキングがありました。……3%どころじゃありません、0.3%未満でした。
(上位2つは一般的な書店とは言えない気がするし)

 つまり、弾さんは「日本中の書店は潰れてしまえ」と言いたいらしいです。
(Amazonと一般書店の比較は「Amazonアフィリエイトの5%は超優良書店? リアルとネット書店の収益構造の分析」が詳しいです)

 ちなみに、実際にはどのくらいのマージンになっているかというと、こちらによると書店と取次の取り分は合せてたったの30%です。
 Amazonに直接取り扱ってもらうと40%とられるので、既存の流通のほうがコストが低かったりします。

 流通マージンを高く感じるとすれば、それは本の単価が安いからです。
(日本の書籍は物価からすると相当に安い、という話を聞いたことがあります)
 売上が大きくならないから、どうしてもある程度のマージンが必要になります。それではやっていけないから、小規模店はどんどん消滅しているわけです。


 では出版社が取りすぎているかというとそんなことはない、っていうのはこちらのとおり
 ちなみに出版コストの低下分は出版点数の増加で相殺されてます。まさに弾さんの望む状況になってるゆえに全体的な出版コストは下がっていないのです。
(出版点数の増加は様々な事情によるものなので、コストが下がったから点数が増えたわけではないですけれど)
 出版点数の増加のために全体のコストは増えているはずですが、それでも印税率をあまり下げずになんとかなっているのは出版社の努力によるものでしょう。


 ――というわけで、弾さんが述べたことは全くの的外れであり、ひどい難癖に過ぎないのです。



 次に酷いところ。
その結果、日本の作家たち(本に限らない)は、信じられないほど多くの本を上梓する。まあ中谷彰宏だの和田秀樹はさておき、年間二桁という人も珍しくない。印税率10%で計算しても1000円の本が一万部売れてやっと100万円。四半期ごとに一冊出さないととても食えないだろう。

 これはたかだか最終売上が1000万円にしかならない売れない本を書いた著者が悪いだけでしょう。10万部売れれば1000万円の収入だし、100万部売れれば1億円です。そういうメリットは無視ですか。
 リスクとリターンの兼ね合いから考えても、また最終売上に対する個人の取り分としても、日本の著者は相当に優遇されていると思いますよ。
(だからこそ本を出したい人が後を絶たないわけです)
 1万部しか売れない本で200万円欲しいんであれば2000円で売ればいいんです。そうすりゃ印税率を変えなくたって200万円の収入になります。
 あるいはサラリーマン作家(ライター)になれば印税の代わりに安定した定期収入が入るようになるでしょう。ないしは原稿の買取りでもいいです(初版印税よりは高値で買ってくれるはずです)。でも、おそらくは印税形式を選ぶ人が多いんじゃないでしょうか。


 それにですね。
 弾さんの大好きな新書は100%原稿を書き下ろしてないケースが多かったりするので、著者の負担が少なかったりもするのです。
 たとえば、雑誌の連載をまとめたものだったり(これは原稿料が出てますからよりオトクですね)、ブログに書いたものをまとめたものだったり、対談をまとめたものだったり。
 ですから、別に印税率をあげる必要は全くない(どころか、ほんとは下げたほうがよい)んじゃないでしょうか。
ほぼ全く手を加えていない本もあれば、ちゃんと読みやすく再構成している本もあるので、一概にはなんとも言えませんが。対談本は出版社にとってコスト高かつ著者のコストはめちゃくちゃ低いので、印税率はかなり低めでいいと思いますけど)


 それでもなおご不満がおありでしたら、ぜひともご自分で出版社を立ち上げていただければと思います。

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404 Blog Not Found
2007/01/01 04:23
ご自分が書いたこともお忘れですか
 いや、弾さんだけがそう主張しているのですよ。 つまり、弾さんは「日本中の書店は潰れてしまえ」と言いたいらしいです。 私がそう言っているのではない。本を買う人々が無言のうちにそういうメッセージを発しているということだ。 ...続きを見る
浅倉卓司のログ
2007/01/01 16:21

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
出版関係者です。10万部売れる本を書けという発言部分は弾さん以上に暴論だと思いました。
とおりすがり
2007/01/04 21:28
 「10万部売れれば1000万円の収入になる」とは書きましたが、「10万部売れる本を書け」とは言っていません。
 僕の提案は「1万部しか出ないものを1,000円で売るのはどうかと思うので、定価を上げたほうがいい(例えば2,000円)」というものです。一般的な出版社ではそうしていると思うのですが、違いますでしょうか。
浅倉卓司
2007/01/04 22:22

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